インタビュー時期:2025年9月
斎藤美奈子(さいとう・みなこ)さんは、秋田県北秋田市を拠点に活動する地域デザイナーです。2020年から3年間、地域おこし協力隊として移住・定住支援や情報発信に携わりました。秋田内陸線の駅を活用した「がっこステーション」など、地域資源を生かした取り組みを行っています。
斎藤美奈子さん (Iターン)
北秋田市に移住したきっかけを教えてください
スペインのサンセバスチャンに住んでいた時に新型コロナウイルス感染症が流行し、日本に帰国することを決意しました。その際、関東圏ではなく、”自然に囲まれて暮らしたい”、”静かな田舎で暮らしたい”という希望がありました 。
もともと飲食業に携わっていたため、”日本酒”や”きりたんぽ”、”いぶりがっこ”などに魅力を感じており、温泉も好きで自然が豊かな場所を探していたところ、秋田県が候補に上がりました 。
秋田県での仕事を調べた結果、地域おこし協力隊の募集を見つけて応募したことが、移住のきっかけとなりました。
国外からの応募という特殊な状況でしたが、北秋田市役所の職員さんに柔軟に対応してもらえたことがとても嬉しかったので、それも移住の決め手の一つになりました。
北秋田市の印象をおしえてください
北秋田市に初めて到着した際、鷹巣地域の便利さに驚きました。自然の緑に囲まれた田舎暮らしを想像していましたが、実際にはスーパーやコンビニ、ガソリンスタンド、行政の施設が集まっており、「マジで便利!」というのが第一印象でした 。
また、北秋田市の人々の優しさ、温かさにも感動しました。特に市役所の職員の皆さんが個性豊かで面白いと感じました。
阿仁地域に住むことを希望していましたが、最初は鷹巣に住むことになり、その後阿仁に移住したことで、地域の人々との関係性をより深めることができました。

お気に入りのスポットやお店、食べ物等あれば教えてください
- 戸鳥内の棚田(守りたい秋田の里地里山50)
- 地元のスナック「やま」
- みず(地元で採れる山菜)
- 地元で採れるきのこ類
北秋田市にあったらいいなと思うお店やサービスはありますか?
- 宿泊施設: カプセルホテルのような簡易宿泊施設で、3000~4000円くらいで泊まれる場所があったらいいなと思います。また、廃校になった旧大阿仁小学校の建物を活用して、簡易宿泊施設やシェアオフィス、アトリエなど多目的に利用できる施設があれば良いと考えています。
- ライドシェアサービス: 阿仁エリア内を周遊するライドシェアサービスがあれば便利だと考えています。観光客が比立内の駅から戸鳥内の棚田などの目的地に行く際に便利になります。

移住前に不安だったこと、大変だったこと、もっとこうしておけば良かったことなどはありますか?
移住前は特に不安はありませんでした。
大変だったことは神奈川から秋田への引っ越しのときです。日本では初めての引っ越しでした。海外での引っ越しは基本的に家具が全部揃っているので、最低限の荷物さえあれば済むのに対し、日本での引っ越しは家具の準備などが必要で、その点が大変でした。
移住に際してあまり計画性を持たず、勢いで行動したことが良かったと感じています。調べれば調べるほど「これって大丈夫なのかな」と不安が膨れ上がり足踏みしちゃうので、勢いで移住を決めたことが功を奏したと考えています。

北秋田市にどんな町になってほしいですか?
より良い町になるために、何が必要だと思いますか?
「真面目にやらない、まちづくりを。ただ、一生懸命やる」
そういう町になってほしいと考えています。真面目にやりすぎると空回りしちゃうので、楽しく一生懸命に取り組むことで、自然と協力者が集まると思っています。
休日の過ごし方を教えてください
基本的に毎日仕事をしており、丸一日休むことは少ないです。ただし、たまたま予定が空いて一日休みになった場合は、基本的に家で寝てます。笑
家にいる時間が好きで、できる限り予定がない日は家にいたいです。また、エネルギーを充電するために、誰とも会わずに過ごす時間も大切だと考えています。人と会うのも喋るのも大好きなんですけど、やっぱりエネルギーって消費されるので。

移住後の抱負や意気込み、チャレンジしたいことはありますか?
北秋田市をより面白い街にするための取り組みを続け、阿仁地域の存続に貢献したいと考えています。いずれはなくなってしまうかもしれない。でも自分の行動が未来を変える可能性があると信じて、日々ワクワクしながら取り組んでいます。
40歳になるタイミングで大きなプロジェクトを目論んでいるので楽しみにしていてください!

これから移住してくる方へアドバイスをお願いします!
移住は勢いが大切だと考えます。移住を恋愛に例えると、移住はお付き合い、定住は結婚のようなものです。お付き合いしてみないとその人の本当のところは見えてこないように、移住してみないと地域の本当の姿やルールはわからないものです。
良い面も悪い面も含めて、実際に住んでみて初めてわかることが多いです。だからこそ、移住したい気持ちが少しでもあるなら、早めに行動することが大切だと思います。
